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  • PMJ

ロープについて

セーリングをしていると常に身の回りにあるロープですが、少し詳しいことを調べていくと意外と面白くて奥が深いものです。

今回は、ピアソンの船についてくる FINELINE(ファインライン)社のロープを例にロープについて書いていきます。

ロープの構成

  • ヤーン(単糸)

一本単位の繊維の状態

  • ストランド(子縄)

ヤーンを数本から数十本単位で撚った状態

※撚る(よる)=ねじって合わせること

  • ロープ(紐)

ストランドを更に撚ったもの


ロープには一層構造のロープ=【シングルブレード】と二層構造のロープ=【ダブルブレード】があります。

  • シングルブレード

シングルブレードでよく聞くのはダイニーマですね。

正式にはダイニーマは繊維の商標で、東洋紡とオランダのDSM社が共同で開発した【超高分子量ポリエチレン繊維】の名前のようです。

ですので例えばポリエステルやケブラー等異なる素材で編んだロープもシングルブレードロープで間違いありません。

  • ダブルブレード

ダブルブレードはシングルブレードや繊維を【内芯】として、その外側に【外皮】を持っています。

二層構造なのでひっぱりに強い内芯とスレに強い外皮のように異なる性質の繊維を役割分担させて高機能なロープにすることができます。


ロープの種類

  • 3つ打ち

3本のストランドを撚って作ったロープ。

一般的によく流通している。よくホームセンターなどで見る"トラロープ"は3つ打ちロープ。

滑りにくく強度はそこそこだが、キンク(ねじれ)し易い。

  • クロスロープ

二本一組のストランドを撚って作る。

ストランドの総数で、8つ打ち(8本撚り)、12打(12本撚り)がある。

3つ打ちに比べてキンクしづらい。

  • 金剛打

2本のストランドを丸く編んだもの。

内芯が有るものと無いものがあり、いずれも丸い断面をしている。

  • 16打ち

16本のストランドを編んだ中に、内芯が入っている。

表面はなだらかで、摩擦が少なく、キンクは起きづらい。

  • 32打ち

32本のストランドを編んだ中に、内芯が入っている。

しなやかで抜群の強度がある。



ロープの素材

ロープの素材ということは繊維の素材ということですね。ヨットのロープによく使われている素材を挙げていきます。

  • ナイロン 【比重1.14 融点250℃】

一般的な繊維の中では高強度、しなやか、スレに強く、伸びが大きく力を逃がすことができます。このような特性から、船のもやい(係留用ロープ)、アンカーラインなど、大きな力がかかったときに衝撃を逃し、切れてはいけない場所に使うことが多い素材です。

  • ポリプロピレン 【比重0.91 融点165℃】

一般的な繊維の中で高強度、スレに強く、比重が軽いことが特徴です。比重が0.9と水より軽いため曳航用のロープに使ったりすることが多いです。ホームセンターで売っている荷役用ロープ(トラックが荷造りに使う黄色や茶色のロープ)もこの素材であることが多いです。

  • ポリエステル【比重1.38 融点260℃】

高強度、低吸水、スレに強く柔軟な素材です。ヨット用のロープでは一番良く見る素材ですね。

  • HMPE【比重0.97 融点144-152℃(←ダイニーマの場合)】

HMPE(High Molecular PolyEthylene)もしくはUHMWPE(Ultra High Molecular Weight PolyEthylene)日本語に直すと超高分子量ポリエチレンとなります。流石にこれはなかなか聞いたことがある人は少ないかもしれませんがブランド名で言うところの"Dyneema(ダイニーマ)"です。先にも書いたように、これは東洋紡とDSM社の開発した繊維の名前で、他にも"Spectra"、"Stirotex"などと言ったブランドで各社展開しています。

伸びが少なく、ポリエステルの約2倍の強度を持っています。とても滑りが良いので単体で使うときは直接手で扱わないテークル部分であったり、ハリヤードとして使うことが多いです。

  • ケブラー【比重1.44 融点450℃(焦げる)】

同質量の鉄の5倍の強度を持つハイテク繊維。高温と切断に対して非常に強く、防弾ベスト、船のもやい、エレベーターのケーブルの代わり等に使われることもある繊維。水に侵されることはないが、アルカリと塩素には弱い。更に紫外線に弱いので日の当たるところではあまり使用されない。

  • Technora【比重1.4 融点400-500℃(焦げる)】

アラミド系繊維のケブラーの一種。ケブラーよりしなやかで、染色されておらずマリン用の加工がされているものはスレに強く、黒く染色されているものは紫外線に強い特性を持っている。

ポリエステル繊維と一定の割合で混合して編んだ外皮は非常にスレに強くハイパフォーマンスロープによく使われる。


Dyneemaについて

一口にDyneemaといっていもダイニーマにもいくつか種類があります。

いくつか紹介していきます。

  • SK75

かつて"最強の繊維"と言われていたもの。近年では使用量が減ってきている。

  • SK78

現在Dyneemaといえばこのグレード。SK75と同じ強度ですが、伸び率とクリープ性が大幅に抑えられている。

※クリープ性=荷重をかけっぱなしにしたときに時間とともに少しづつ伸びていく現象

  • SK90

2009年に市場に投入された繊維で、SK75,78に対して10-15%強度が改善されている。伸び率とクリープ性はSK75と同等の性能しか有しない。

  • SK99

2013年に市場に投入された最新の繊維。SK78に対して約20%強度が増し、SK78と同等の伸び率、クリープ性を保持している。最先端のスーパー繊維。


実際のロープを見ていく

ここまでロープの基本を見てきたので、実際にPMJ艇についてくるロープを例に見ていきます。

5 series (ファイブシリーズ)

ポリエステル製8つ打ちクロスロープ。

紫外線に強いポリエステルを外皮と内芯に使用したロープ。

ちょっとした固定やラッシング、リーチライン等に使用できる。

Advantage (アドバンテージ)

~5mm 16打ちダブルブレード

6mm~ 32打ちダブルブレード

外皮に100%ポリエステル、内芯に12打ちSK78を使用。

コストパフォーマンスに優れ、他社に比べて同じグレードでありながら非常に安価。

配色も鮮やかでPMJ艇にも各種コントロールロープとしてフィッティングされている。

Advantage X (アドバンテージ エックス)

~5mm 16打ちダブルブレード

6mm~ 32打ちダブルブレード

外皮にポリエステルとテクノーラのブレンド、内芯に12打ちSK99を使用。さらに内芯のSK99には酸化チタンの粉末を練り込まれていて、切断、摩耗、紫外線に対してより強くなっている。

SK99を使用しているがこれも他社と比べると安価。

スペックとしては外皮にテクノーラ(写真にも見える黒色繊維)がブレンドされていることで摩耗に強く、内芯はSK99でひっぱりに強い、これ以上にない組み合わせ。

若干落ち着いた配色で、PMJでは強いテンションが掛かったり、よく擦れる場所のロープとして採用している。

Advantage Tech Grand Prix (アドバンテージテック グランプリ)

32打ちダブルブレード

外皮に75%以上のテクノーラとポリエステルのブレンド、内芯に酸化チタン入りSK78を使用。

アドバンテージシリーズの大径専門のラインナップ。外皮にテクノーラを多くブレンドされているので摩耗に非常に強くなっている。

Control 2.0 (コントロール2.0)

16打ちダブルブレード

オリンピックの金メダリスト、ピーターバーリング監修のファインライン社ディンギー用ロープのフラグシップモデル。

外皮にポリエステルとポリプロピレンのブレンド繊維、内芯にSK78を使用することで、軽量かつ高強度なロープ。

コシが強いロープで、メインシート、ジブシート、スピンシート、ランチャーシートとして使用可能。内芯のSK78もコシが強いのでスプライスをしたときにきれいに仕上がる。

FX (エフエックス)

12打ちシングルブレード

ファインライン社のシングルブレードロープ。

酸化チタン粉末を含んだSK78を使用。

他社のシングルブレードロープと比べると編み込みがきつくないのでスプライスが非常に容易にできる。

カムクリートとの相性が悪いので手元のカムる部分には使わない。テークル部分や、ハリヤードとして使うことが多い。


まとめ

ロープについて基本的なことについて書いてみましたがいかがだったでしょうか。

船につけるロープはその用途によって選択されたロープが使われています。

例えば曳航用のロープ一つとっても、単に高級なテクノーラ入のハイスペックロープを選択してしまっては、いざロープを海に投げたときに沈んでしまって、救助が必要なときに無駄な時間がかかってしまうかもしれません。多少格好悪くてもポリプロピレンのロープを使えば水に浮いてくれて船同士をつなげるのが楽になり、曳航が終わったあとに結び目もほどけやすいので、解かないといけないときに解けずトラブルになることもありません。

新しく取り替えるロープの選定も、その場所にどんな力がかかるのか?擦れるのか?紫外線にさらされるのか?カムをかけるのか?など考えてみて最適なロープを探してみましょう。




参考文献

ナロック株式会社 ロープ・スプリング総合カタログ.com https://naroc.co.jp/catalog/technical_column/%E7%B9%8A%E7%B6%AD%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%A8%E3%81%AF/ (2023/01/23)

ロープ屋本舗 ロープあれこれ https://ropeya.com/hpgen/HPB/entries/2.html (2023/01/23)

YAMA HACK 登山業界に革命を起こす!? 超軽量&高耐久素材「ダイニーマ」のギアに注目! https://yamahack.com/3835 (2023/01/24)

INFEXION Types of Dyneema https://www.infexion.eu/info/types-of-dyneema/ (2023/01/24)

FINELINEMARINE SPEC SHEET 2021 page2 MATERIAL PROPERTIES

田中 廣治 増原 稔之 五洋建設技術年報 Vol. 30 2000 合成繊維ロープの繰り返し特性実験 https://penta-ocean-int.com/wp-content/uploads/2014/11/g30-08.pdf (2023/01/24)

PREMIUM ROPES.com STIROTEX FIBERS https://www.premiumropes.com/stirotex (2023/01/24)


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