ピアソン全日本470級ヨット選手権大会で
JPN4800 吉田愛/木村直矢 組
が使用した艇のフィッティングの紹介です。
とても参考になりますよー
トッピングフックが取りやすいようにジブタックのフェアリードからショックコードで前方に引っ張っています。あまり前に引っ張りすぎると軽風のタックで引っかかる可能性があるのでほどほどにしてあります。
コンパスのクレイドルの中心に穴を開けて固定しているネジにドライバーでアクセスしやすくなっています。この場合はグルーブに筒を入れてそこにネジ止めしていますが、ホースバンドでブラケットを固定する場合はブラケットの横側に穴を開けてやると、ホースバンドのネジにドライバーでアクセスしやすくなるのでおすすめです。
あと、ブラケットの中心下側を削ることでジブハリヤードと干渉しないようになっています。これでコンパスの取り付け位置を下げることができ、ブームとのクリアランスを確保できます。
このスペシャルバングシステムには、特にロードのかかる部分にハーケンのフライブロック(3枚目の写真赤色と茶色のロープでスプライスされているシングルブロック)が使ってあります。このブロックはチタン製なのでそもそもの強度があることに加えて、固定用のロープがブロックのシーブの中心を通る作りになっているので、万が一ブロックが壊れても、固定用のロープとブロックのシーブを通っているロープが離れないので、最低限帆走を続けることができます。
ただし、このフライブロック、通常よく使われるカーボブロックの約10倍の価格(しかも2個!)なのでなかなか真似できる人はいないでしょう...
その他にも、バングのブーム側のアイには強化バングアイを使用、固定用の各シャックルはwichard製シャックルを使用する徹底ぶりです。
ツイーカーはシンプルにアイスプライスで吊り下げています。
新しい艇のシュラウド(サイドステーの取り付け金具)には標準でwichard製防水機能付きUボルトが付いてきます。
スピンハリのフックもカーボン製です。
ジブカム台座周辺、ジブのラチェットブロックはこんなふうに付けるんですね、これもまたシンプル。このラチェットブロックはロープでサイドデッキのアイに固定されているのですが、ロープがアイの角で切れてしまわないようにアイに外皮がかぶせてあります。
トッピングリフトは斜めについています。スキッパーでも触れる位置についているのでリーチングや軽風のときなどクルーがトリムできないときも安心です。
メインラチェットはハーケンの新商品が食いつきがよく良いらしい。
メインシートは頻繁にブロックを通過する部分に外皮がかぶせてあり、消耗を軽減してあります。ちなみにこの赤色のメインシートはオリンピックのときにも使用したものらしいですよ。
テンションは左右のデッキにリード(メインのスウィブルベース両端の白黒のロープ)されていて海上でも出し入れがしやすくなっています。
コントロールロープのは位置はバウ側から
ジブリーダー
カニンガム (センターダウン)
バング(センターアップ)
トラベラー
となっています。今までは
カニンガム
バング
ジブリーダー
トラベラー
でしたがより直感的に、より取り回しがシンプルになるようになっています。
スピンハリポンプのブロックはカーボンの棒の両端にブロックがつくようになっています。1つのブロックだけにしてしまうとぐるぐる巻になってしまうときがあります。
スピンハリヤードは3mmのダイニーマでホイストしたときにカムるところにもう一本ロープを入れてカムが滑ってしまわないようになっています。さらにホイストの途中にも数カ所ロープを入れているので、ポンプの途中でポンプアクションクリートが滑ってしまうことも防いでいます。
最後にラダーストック。これは特に特別なものではないですが、新型に変わるのを機にガジョンピントルが新しいデザインになっています。
これによりガタが大幅に軽減され、帆走中にピントルが抜けてしまう事故も防げるようになりました。
今回の記事はここまでにしようと思います。
他の人の艤装を見ると色々勉強になります。
今回の艤装はロープが消耗しない細工だったり、最悪壊れても帆走し続けられる工夫など、こだわりが感じられる艤装でした。でも複雑にすることなくシンプルな艤装でとてもまとまっている印象でした。みなさんもこの冬、寒すぎて船に乗らないときは今回見た新しい艤装を真似てみてはいかがでしょうか。
Comments