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-神木選手-2022年 第35回全日本420選手権大会 レポート

2022年12月下旬に行われた全日本420選手権でピアソン420に乗ってくれた神木 聖(かみのき しょう)選手から船についてのレポートが届きました。

チューニングの考え方や、各レースでのギア選択についても書いてくれているので自分のセーリングにも取り入れて見ましょう。


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【大会概要】

2022年 第35回全日本420選手権大会


【レース結果】

(2)-1-1-1-1-1  5点  総合優勝


【チューニング】

Base Setting

・マストステップ 2830mm(1番前)

・スプレッダー長さ 505mm


Gear1

・サイドテンション 32

・プリベンド 48mm

・マストレーキ 6120mm


Gear2(半ピンダウン)

・サイドテンション 32.5

・プリベンド 55mm


Gear3(1ピンダウン)

・サイドテンション 33

・プリベンド 60mm


マストステップについて

今レガッタは強風予報だった為、マストステップは1番前を使用した。1番前を使用することで、セールのフット部分に深さを持たせた上で、ヘルムもなるべくウェザーを消し、プレーニングコンディションでアドバンテージを取ることを選択した。強風予報でなければ、もう1つ後ろに下げていた。


スプレッダーの長さについて

スプレッダーの長さはかなり長めの505mmだが、これは神木60kg/中川70kg /合計130kgとなっており、適正体重よりも重たいので長めに設定した。練習日に485mmで乗ったところ、船がとても不安定でメイントリムが追いつかなかった。スプレッダーの長さは480mmが基準で体重により±15-20mmとされているが、軽量ペアでも485mmは最低限でも必要だと感じた。特に陸風でブロー性のコンディションでは、船を安定させる為にもある程度の長さは必要だと考える。シーブリーズの安定した強風域で、軽量ペアの場合は480mm以下でも問題ない。

補足
Q. スプレッダーが体重に対して短い時に感じる船の不安定感っていうのは?
A. 体重に対してマストが柔らかくなりすぎて、自分の思ってるトリムと船の挙動が一致しなくてメイントリムが追いつかなくなること。
スプレッダーを短くすると起こることとしては以下2つです。
①サイドテンションが下がる
②プリベンドが減る
プリベンドを合わせるためにスプレッダーを後ろに振るので、結局はスプレッダーを短くすると、『サイドテンションが下がる+スプレッダーが後ろに振られる』ことが起きます。この2つの事象はサイドベンドしやすくなる大きな要因なので、ブロー入った時にハイクアウトして起こそうとしても、先にマストがサイドベンドして勝手にデパワーされてしまいます。これが体重に対して短い時に感じる船の不安定感です。

サイドテンションについて

Gear1では32、ピンを下げていく毎にサイドテンションを上げて乗っていた。まずGear1についてだが、32以上に上げてしまうと、船のパワー感が強すぎる上、船が敏感になりすぎて扱いが難しい。波がない平水面の10kt以下のコンディションでは、33まで上げてもいいが、それ以外のコンディションでは、32が良い感覚であった。ピンを下げて乗る時は強風コンディションの為、ジブのサギングを抑えるために、サイドテンションは上げて乗っている。強風コンディションで32でも乗ってみたが、スピードは出しやすいが高さをロスしており、VMGは良くなかった。サイドテンションを上げることでパワー感が強くなってしまうが、それはセンターボードを上げることで解消していた。


プリベンドについて

プリベンド量については、使うセールによって異なるが、8~10ktのフルパワーコンディションで1番少なくし(私の場合は48mm)、それより風が弱くなっても強くなっても増やしていくのが基本の考え方である。プリベンドはマストの固さ、セールタイプ、セールの使用状態、体重、風、波など、様々な要素によって変えていかなければならないので、チューニングガイド通りに乗るのが正しいのではなく、自分の感覚を信じてチューニングするのがベストである。


セッティングの考え方

上記4項目(マストステップ・スプレッダーの長さ・サイドテンション・プリベンド)が、420を走らせる上で重要な要素である。マストレーキはGear1の時に6120mmに合わせれば問題なく、ピンを下げた時は測る必要すらない。フォアテンションはサイドテンションに依存するものなので、サイドテンションだけ合わせておけば測らなくてよい。またディフレクションはマストの固さを確認する指標なので、確認はするが、プリベンドを変えればディフレクションも変わってしまうので、気にする必要はない。


【レース時の選択Gear】

1レース目:Gear2(13kt)

2レース目:Gear1(12kt)

3レース目:Gear1(15kt)←ギア選択ミス

4レース目:Gear1(8kt)

5レース目:Gear2(15kt)

6レース目:Gear3(18kt)


Gear目安 : Gear1(~12kt) ⇒ Gear2(13~17kt) ⇒ Gear3(18kt~)


【ピアソン艇について】

成績から見てもピアソン420が上位を独占していることから、良いボートというのは言うまでもないが、私はこれまで他ビルダーの420にも多く乗ってきた為、他ビルダーの420と比べて良かった点を述べる。


ヘルム

最初に乗った時の感想としてフルパワーコンディションでヘルムがニュートラルだったことに驚いた。通常ならばウェザーヘルムがかかってしまうが、それが無かったので、その時点でこの船は速いと確信した。またヘルムがニュートラルなのにも関わらず、クローズで少しアンヒールが入ってもパワー感が残っており、すぐにリーヘルムに変わることがなかった。これは他のボートにはない良い感覚であった。


ハンドリング性能

舵を動かすと船が敏感に反応してくれる為、強風時のクローズ・フリーやスタート前のポジショニングがとてもやりやすかった。乗り慣れていない船であり強風域であったが、ハンドリング性能が良いことで、1度もブローチングせず、安全に走らせることが出来た。もちろんラダーにガタもなく、ノンストレスでセーリングが楽しめた。


プレーニング

プレーニングの入れやすさと入れることが出来る風域が他艇よりも早いこと、そこに大きなアドバンテージを感じた。これはクローズだけでなく、フリーを走っている時も感じ、ブローが入るタイミングで乗艇位置を下げることで船が勝手にプレーニングに入ってくれる感覚があり、とても扱いやすかった。


フィッティング

現地にて船を受け取り、事前練習は1時間のみという短時間の準備期間であったが、船のフィッティングが良く、船に取り付けられている艤装品はほとんど変更することなくレースに参加しても全く問題が無かった。カムの位置・シートの種類など、全て扱いやすくセットされており、レースに集中することが出来た。

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以上がレポートです。

今回神木選手に乗ってもらった船は最新のピアソン420(セールナンバー57107)ですが、PMJが420を作り始めてから今回の再新艇まで中身は全く同じなので、PMJ艇に乗っている方は今の自分の船と単純に比較できると思います。

ただ注意してもらいたいのはチューニングは乗員のセーリングウェイト、クルースキッパーの体重比、乗艇位置、走らせ方(ピンチング気味、ドライブ気味)などによって一番良いチューニングは変わってくることです。

真似をしてみて、自分が感じるフィーリングと話し合って、微調整をしてみたり、真似するのをやめてみたり、簡単にはいかないと思います。でも、間違いなくトライをしてみることで自分の中で選択肢が増えると思いますよ。


以前に書いた

【ピアソン420を設計者目線で解説】→ https://onl.bz/Q4PckcF

【2022年全日本420選手権大会 写真集】→ https://onl.bz/ZkKeMGy

こちらのブログも併せて読んでもらえると嬉しいです。

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